図書館のRFIDシステム

昨日、図書館総合展とやらに遠征してきた。目的は九大の南俊朗教授(http://rd-card.lib.kyushu-u.ac.jp/~minami/)の講演。
内容的には‥‥少し古いがこの資料に近いような話。
http://rd-card.lib.kyushu-u.ac.jp/~minami/kibansemi030418.pdf
RFIDタグを使用して、図書館の蔵書の管理をしようという話だ。すでに南教授らは九大図書館の筑紫分館にRFIDタグを使用した管理システムを試験的に導入しているとか。
ここで使用されているRFIDタグは、図書館の本の裏についているバーコードにチップを仕込んだような形をしている。バーコードと一緒にされているのは、ICチップがいかれてもデータを読めるようにしておくためだそうだ。このチップはミューチップと違って(id:HiromitsuTakagi:20031103#p1)、アンチコリジョン機能が付加されており、複数冊を一度で認識することが可能。
効果として最も協調される点は、蔵書管理が容易になるということだろうか。本棚から本を出して確認することなく、背表紙のあたりにハンディスキャナでさっとなでるように動かせば、本があるかどうかがわかる。読みとり距離はスキャナの性能によるとかで、スキャナの電力等をあげれば、それなりに遠くからも読みとり可能らしい。デフォは数cm〜15cm程度。貸出機はもう少し範囲が広くて、複数冊が一度に読めるから、貸出・返却処理もスムーズになる。
また、チップ一つで管理と防犯の両方の機能を一応満たすことができる。従来バーコード等で行われてきた管理をチップで行い、従来磁気システム等を使用していた防犯(万引き防止)もチップで行う。これを使用していると、利用者がゲートで引っかかった際に、どの本を取っていったのかまでわかる。
そうそう、気になったのでICチップにはなんの情報が埋め込まれているのか聞いてみたんだが、どうやら、図書館IDと本のIDが入れられているらしい。そうすることで違う図書館の同じコードが通ったときの重複なんかを防ぎ、提携等を行いたい場合にはソフト側で対応するとか。ついでに、IDと本の名称の連携については図書館内のローカルサーバで行われる。


問題点についても聞いてみた。
まずは金属による減衰について。これはどうしようもないらしい。アルミホイル一枚挟んだだけで無効化されてしまうそうだ。また、ノートPCと重ねた状態で通られたりするとそれでも駄目。
スチール製の書架に本が並べてある場合、一番端の本はハンディスキャナで読みとりが行いにくく、木製の書架を使用するか、あらかじめ端の本は少し表に出した状態にしておいたり、端の本だけを取り出して読みとるなどする必要がある。
ICタグの寿命も問題になる。現在のところ、メーカーは最大で10年保証するのが限度だという。でも図書館の本は長いこと使うわけだから、10年で変換というのはかなり厳しい。今のところ値段も高いし。
10年というのも確かな話ではなく、高温多湿の日本の場合、ICタグの接着状況との関係から、3〜5年で駄目になるのではないかという話もあるのだという。そうだとしたら、とてもじゃないけれどコストがかかりすぎて、見合わない。
さらに、3年くらい後には、本屋で使用開始されるといわれるUHF帯のRFIDが生まれてくるらしいが、現在のICタグシステムはこれとは互換性がない。
‥‥などなど、問題は山積みらしい。


セキュリティについては、3Mが現行の磁気探知システムと組み合わせてセキュリティを強化したタイプのやつを売り出してる。RFIDで管理をして、磁気で防犯。いいとは思うのだけど、費用がかかりそうな気がするかな‥‥。


そういや、外に持ち出したとき読みとりできるのだろうか。チェックポイントシステムジャパン(http://www.checkpointsystems.co.jp/rfid/index2.html)の方は、「読みとりは専用の物ではないとできません」と言っていたが。暗号化されているわけではないと言っていたんだが、どうも仕組みがよくわからない。
3Mの方は読みとり可能なようなことを言っていたっけ。詳しく聞いてくれば良かった。