ネット連邦主義

"And How Shall the Net Be Governed ?", Johnson & Post
ネットのユーザーのみならずそれから影響を受けるすべての物からも、不法な行為を防止するための「ガヴァナンス」や「秩序」が求められる。
統治の方法は4つに分類可能。
(1) 現存する地域的な主権の管轄権を行使し、必要な場合には現行法を修正して、自国民へ相当な影響を有するネット上のすべての活動の統治に努める。
(2) 各主権国家が多国間の合意 / 条約を形成し、ネット上の行為に特に適用される新たな統一法を設定する。
(3) 新たな国際的な機関が、新たな規範を制定し、その規範を執行するとともにそれぞれが一定区域について責任を持つようにする。
(4) ドメインネームやIPアドレス登録機関、シスオペ、およびユーザーらによる個々の決定と相互作用の結果としてデファクトな規範が出現する。
最初の3つには欠陥があり、4番目の方法がネットにふさわしい秩序を作ることができる。ネットはself-regulationを形成できるのだから、集権的トップダウンな管理の実行は差し控えるべきである。
ただし、現実世界に深刻な影響を与える事例については既存の国家主権による力を借りてサイバースペース自治を防衛することになる。
将来的には、合意によって一つのネット法(law of the net)ができるか、複数のネットワーク連合体(multiple network confederations)による統治(連合体の国境を越えた情報流通を防ぐこともあり得るだろう)になるかもしれない。


"The New Civic Virtue of the Net", Johnson & Post
利用者が直接参加する直接民主主義的な統治の提案。
インターネットにおいては従来のような地理的領土主権に基づく法の概念では統治できない。そして国際的な統一ルールを定めることも困難である。しかし、サイバースペース用にルールを考えて門打点を克服することは可能である。
ユーザーは所属するネットが気に入らなければ容易にその社会からexitできる。これを利用し、シスオペが専制的であった場合には、ユーザーがexitしていくことによってチェックが為される。


"Governing Cyberspace", Post
トーマス・ジェファソンの統治する対象の最も少ない政府こそが望ましい−安全な政府形態とはすべての権限をそれに委譲してしまうものではなくむしろ権限を分散するものである−という主張を、サイバースペースに当てはめることによって「電子的連邦主義(electronic federalism)」が実現する。
ネットワークから自由に脱退できるというルールの自由市場という形で参加者自身による自治的な連邦が形成される。